- インプラントとは?
- インプラント治療の目標
- インプラント治療の流れ
- インプラントの問題点
1、 インプラントとは?
インプラントとは人工歯根のことで、直接顎の骨にチタン製のインプラントを埋める治療です。それにより歯周病や虫歯、事故などにより失われた歯をおぎなう事ができます。
従来、歯がなくなった場合義歯(入れ歯)やブリッジが一般的な治療法でしたが、インプラントは一つの新しい方法といえます。(図1)
インプラントの最大の利点は入れ歯のように取り外しを必要としない事、ブリッジのようになくなった歯の両側にある歯に負担がかからないこと。
他の歯を虫歯でもないのに削ったり神経を抜いたりする必要がない事です。そしてなによりも自分の歯のように違和感なく良く噛めるということです。
現在当院で行われているインプラント治療は、1965年にスウェーデンで始められ、日本では1980年代中頃より行われている骨結合型(オステオインテグレイテッド)インプラントによるものです。
現在に至るまでいろいろな材質や形態のインプラントが多くのメーカーにより発売されてきましたが、全てが信頼のおけるものではなく、失敗例も多く発表されてきました。
それに対しこの骨結合型インプラントは発売以来、基本的コンセプトや材質を変えることなく、多くの歯科大学や総合病院で採用されており、世界で最も信頼のおけるインプラントであると言えます。
2、 インプラント治療の目標
骨結合型インプラント治療の歴史は日本では20年ほど(2004年時点)です。多くの患者さんの間で10年、20年とインプラントが快適に使用されています。
また外国では30年以上インプラントが快適に使用されている例も多くあります。
当院においてもそのように長期間快適に噛んだり会話ができるインプラントをめざしています。
3、 インプラント治療の流れ
1) 診断
研究用模型の作製、CT検査、糖尿病など基礎疾患の有無と評価など
2) 一次手術(図2)
インプラントの埋め込み手術を行います。
インプラントが顎骨と完全に結合するのに下顎で3か月、上顎で6か月を要します。その間一時的に義歯などを使用して頂く事があります。
3) 二次手術(図3)
一次手術の数カ月後(下顎で3か月、上顎で6か月)に顎骨に埋め込んだインプラントを露出させ、チタン製の仮歯(ヒーリングアバットメント)をかぶせます。その状態で歯肉の粘膜の治癒を待ちます。
4) 印象採得
二次手術の2〜3週間後に粘膜が治癒した事を確かめ、型取りを行いセラミックや金属の歯を作成します。
5) 人工歯の装着(図4)
セラミックや金属で作製した歯(人工歯)をセメントやネジでインプラントに固定します。
4、 インプラントの問題点
1)数パーセントの割合で骨とインプラントが結合しない場合があります。
当院で行っている骨結合型インプラントは世界で最も医学的な実証がされていて、最も成功率が高いものではありますが、数パーセントの割合で骨とインプラントが結合しない場合があります。
その場合はインプラントを除去する必要があります。
2) 治療費は保険適用されておらず、高価なものとなります。
当院ではインプラント埋入手術に20万円(CT検査料別)、さらに人工歯の部分に10〜25万円程要します。
当院では現在の骨結合型インプラントと同様の材質、耐久性があり、なおかつ低コストのインプラントがあれば採用していきたいと考えています。
3) 定期検診が必要となります。
当院ではインプラントは非常に優れた治療方法ではありますが、自分の天然の歯に勝るものではないと考えています。
自分の歯を喪失した原因として、歯周病、虫歯、事故などが考えられます。
なかでも歯周病、虫歯は予防が可能な疾患であり、手入れ次第では歯を失わずにすんだかもしれません。
それゆえインプラント治療を行った場合、今まで以上にお口の中の手入れが重要で、定期検診が必要となります。
4) インプラント手術の合併症
下顎の中には神経や血管が、上顎の中には上顎洞と呼ばれる空洞があります。それらを損傷すると思わぬ出血や下顎のしびれ、上顎洞炎を起こす可能性があります。
それらを予防するため当院では原則的にCT検査を行い、それらの組織との距離を計測し、インプラントを埋め込む位置やインプラントのサイズを決定します。
また糖尿病や心臓病(弁膜症など)、ステロイド治療を行っている方などはインプラント治療ができない場合があります。
インプラント治療を行う前には十分な説明と同意が必要ですのでどんなことでもご相談を受け賜ります。
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